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読書とネットが趣味という超インドア派。
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カカサスの呪(カカシ先生の?)に憑かれている私といたしましては、精一杯祝わねばと思いつつも……1年分の疲労はなかなかとれない上に、授業のスピードについていくだけでいっぱいいっぱいという状況で。今月中にはケリをつけたいです。
にしても。
あたい、今年1年、まともに平穏無事に生きていけるかしら?
頑張ってsssを2本。ナルカカとカカサスです。ナルカカのは珍しくポップ…かもしれない。カカサスは相変わらず。うん。
不思議な気分だった。
「俺ってば、ずっと待ってたんだもん」
もんって、いったいお前はどこのガキだと笑ってやりたいけれどこの状況ではそうも言っていられない。
いわく、適度な反発がすばらしい最高級品だろう、しかし大の大人、しかも男が二人して寝転がるには狭いソファの上。俺の上には、いつの間にやら俺よりもすっかり身長体重その他もろもろ、追い抜かしてしまった元部下であり現在上司の姿。青は藍より出でてって、あれは本当になると嬉しい反面悔しいもんなんだって、そんな現実逃避は置いておいて。
「ナルト、ちょっとばかり先生の話を聞いてくれるかな」
「先生が、珍しく先生ってゆったってば」
すごく嬉しそうな笑顔に瞬間絆されそうになって、あわてて引き締める。
「できればこの状況を簡潔明瞭に解説してくれると嬉しいな、先生としては」
「なんだ、そんなこと?」
「そうそう」
真夏の太陽だと形容される笑顔が、視界いっぱいに広がる。サクラ、これ結構暑苦しいんだね。実感なかったからわからなかったよ、今度は否定しないから。
「俺が先生を押し倒してんの…!!」
「……はぁ」
情操教育、間違えた。
下忍のとき、何を間違えたかって絶対にこれだ。
「どうしたの?」
「いや、自分のふがいなさを痛感したっつうか」
「んなもんしてる暇があったら、俺に付き合ってくれってばよ」
「あのね、ナルト」
人の腹の上に馬乗りになって利き手を背凭れと足で器用に封じて言う科白がそれですか。
「俺、先生好きだって言ったってばよ、何度も!」
「そうだね」
初めて、好きだと言われたのはいつだっただろう。おそらく、下忍の頃。
『センセー、カカシ先生ー!』
『なんだぁ』
『俺ってば、先生大好きー!!』
…今、思えばなんて心温まる教師と生徒の会話だろう。
「好き」と叫んで抱きついてこられたことも何度もある。そのたびに、俺も好きだぞぉなんて、軽く返していた俺。
「俺、どこでどう間違ったの?」
「先生はどこも間違ってないってばよ」
「じゃあ、お前が間違ったの?」
「そうかも」
そうだ、ナルトが間違えたんだ。だぼだぼの目に痛い黄色いジャケットに埋もれてたちんちくりんの、どべでどたばた忍者だったナルトがどこをどう成長したらこうなるのか。こんな、悔しいぐらいに男らしい色気にあふれた表情で笑うようになるなんて。
「あの頃は可愛かったのに」
「可愛くたってダメだってばよ、先生ホンキにしてくれなかったし」
「当たり前でしょ」
ほんのつい数瞬前まで、本気にしてませんでしたよ。
「今は?」
「…仕方ないなぁ」
「やった」
サクラと別れたなんて、言われなきゃね。
サスケに説得されたってダメだったなんて、言われなくちゃね。
本当だなんて、思わなかっただろう。
「ナルト」
「なに?」
「なんで俺だったの?」
「なんでだろ、よくわかんねーってばよ」
せめてソファは勘弁してほしいと希望を言えば、驚いたことにベッドに移動じゃなくて影分身にベッドを運ばせた。俺と離れたくなかったんだって、そういうところだけは下忍の頃と変わらなくて、こっちがどきりとさせられる。
「お前なら選り取りみどりだろー、昔は高嶺の花だったサクラだって振り向いてくれたみたいだし」
「そうなんだけどさー」
「男なら、サスケだっているだろ」
「顔はキレーだよな、サスケってば」
「ほかにも日向のヒナタとかいろいろ」
「でも、俺ってばやっぱり先生がいい」
ナルトの指がジャケットのジッパーにかかった。ジジッと独特の音と一緒に下に下ろされていくのを眺める。
「サクラちゃんは可愛いし強いしすげー好きだけどそれだけで留めときたいんだよなぁ。デートとかはしたいけどさ、うん。一緒に笑えたらもうそれだけで十分っていうか笑顔見てたい。サスケは背中預けられる相手でバカできる相手。ヒナタはいいやつ」
「…俺は?」
「センセ?先生には俺のいいトコだけ見せたい。かっこいとこだけ見せてたい。ガキの頃の俺なんて忘れちまうぐらいにいいとこばっかり。俺のこと、最高だって言ってほしい。好きだって、一番だって言ってほしい」
アンダーの上におかれた手が熱い。睨みつけるような、それでいて懇願するような蒼い瞳も、まるで火でも灯ったかのように光っていた。
「先生は俺のこと認めてくれたけど、一番にはずっとしてくれなかった」
「…ナルト」
「俺、先生のこと、好きなんだってばよ」
憎悪すら沸くような心根の真っ直ぐさ。
ナルトの、こんなところがたまらなく好きだった。
金紗の髪に手を伸ばす。熱を孕んだ髪はあっさりと指に絡んだ。
「先生?」
「俺の一番はね、難しいよ」
とれる自信、ある?なんて、訊くだけ無駄だ。
「俺ってば、自信だけはあるんだってばよ!!」
無邪気な子供の笑顔。
『俺ってば、先生大好きー!!』
あの頃から、そうであってほしいと願っていた。
だからこそ、本気ととるのが怖かった。
『だったら、俺のこと捕まえられるように頑張んなさい』
そう、かわすだけで精一杯なぐらいには。