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読書とネットが趣味という超インドア派。
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だってあと6分しかないんだ…!!!!
早春賦の焼き直しというか、第3者からみたシリアス系カカサス。カカサスの二人は、互いが互いに視野狭窄症だと大変よいとおもうのでございます。
PCをまともに久しぶりに立ち上げてワード打ってて気がついたんですが、キーボードがおかしいです。というか、iのボタンのレスポンスが変。ちょっと待って。あとせめて半年持って頂戴ね
その子は、ひどく満足そうに笑った。
私が彼を覚えているのは、その姿が非常に印象的だったからです。その日はちょうど今日のような天気でした。狐の嫁入りですね、晴れているのに雨がこう、結構な勢いで降っていたのです。その中、彼は立っていました。そう、あすこです。ここから見えるでしょう?あの古びたアパートの階段のところですよ。手摺に凭れて立ってました。あそこ、屋根が途切れててその子は頭の天辺から足のつま先までずぶ濡れでねぇ、見るからに可哀想な姿でしたよ。紙みたいに白い顔で、真っ黒な髪と紺色の上着がべったり白い肌に張り付いて余計に色が白く見えてね、長く雨に当たっていらしくって肌の色も青くなってました。唇なんて紫色で、なまじか顔が整ってる所為で痛々しいこと。あんまり可哀想なんで、近付いて訊いてみたんですよ。
『なにしてるの?』って。
そうしたら、なんて返ってきたと思います?
『アンタには関係ねぇ』とこうですよ。
なんてガキだと思ったら、額あてをしてるじゃありませんか。こんな子でも忍なんだとこちらは二度びっくりですよ。早々に退散してもよかったんですが、いくら忍といえど見るからにまだ10歳ぐらいの子供が風邪を拗らすのを黙って見てられませんでした。私はこれでも人情家なんですよ?
自分が差してた傘を彼に差し出したんです。
『気休めかもしれないが、これでも差していなさい。少しは違う』
彼は刹那驚いたように目を細めましたが、傘を受け取ろうとはしませんでした。
『風邪をひくよ?』
『いらねぇ』
つっけどんに返された答えに、さすがにむっといたしましたが、彼の手がなにかを握りしめたように固く握られているのに気がついてそちらに気が惹かれました。
『なにか持っているの?』
『っなにももってねぇよ!』
明らかな嘘に私は思わず噴出してしまいました。彼はひどく気を悪くしたようで、私をきっとにらみつけると、大きく一歩私から離れました。
その様子がまるで野良猫のようでありましたので、構いすぎて薮蛇なんてことになったら大変だと、傘を畳むと彼の傍に立てかけました。
『それ、あげるから。風邪ひいたら困るでしょ?』
私はそういうと、その場を去りました。一番近くのコンビニに駆け込んでやけに高いビニール傘を一本求めると、さっきのところにとって返しました。自分でも、バカなことをやってるとは思いましたよ?でも気になったものはしょうがねぇじゃありませんか。
彼は傘も差さずにそこにいました。雨の中、本来の用途に用いられない傘は無意味に水を弾いていました。
いったい、どれぐらい経ったでしょうか。彼のあまりの動かなさに退屈を感じ、折から空腹を覚えた私が家に戻って食事をし食後の喫煙も済ませ、夜の散歩がてらと興味本位に先と同じ場所に行ってみると、はたして彼はそこにいました。もう日が沈んで、夜です。空気は昼の雨ですっかり冷え込んでいて、こんな中、濡れたままいたら熱を出すことは間違いありません。いくら忍とはいえど、肺炎にだって罹ってしまうかもしれません。私はあわてて、彼に声をかけようとした。
が、結局、声をかけることはありませんでした。
今まで、私から逃げるという目的を持ったあの一歩を除いて動かなかった彼が、ぱっと動いたのです。私は驚いて彼の走っていった先に目をやりました。電灯の下、銀色の髪をした背の高い人が立ってました。この里でよく見かける忍のベストを着ていましたので、その人も忍だとわかりました。
「アンタっ!任務」
「今、終わらせてきたよ」
「…そ、うか」
「うん、ただいま」
どうやら、彼は今現れた男を待っていたらしい様子です。彼のそんな様子がわかるらしく、男は遅くなってごめーんねと、独特の言葉遣いで謝りました。が、その言葉は私には軽薄で、感情の重みがまるでないように聞こえました。
「カカシ」
「なに?」
「これ」
男―どうやらカカシというらしい―に彼はあの握りこぶしを突き出しました。男は一瞬目を見開いたようですが、彼の突き出している腕をそっと取ると、そっと手を自分の手の中に収めました。
彼はゆっくりと息を吐くと、そろそろと手を解きました。
中にあったのは、私にはどうみても紙のようにしか見えませんでした。なにか複雑な記号が書かれた、掌に十分収まるような大きさの、単なる紙です。
男は、それを見るととても満足げに笑いました。
「ありがとう、サスケ」
彼も、とても幸せそうでした。
男が紙を丸めると慎重にそれを飲み込み、それから彼―サスケという名前らし子供―にキスしました。彼は、満足そうに笑い、それから静かに男の腕の中に倒れこみました。
それが、口寄せという契約であったというのは、知り合いの忍からあとで聞いた話しです。